「かえりみる(省みる/顧みる)」の違い:「危険をかえりみない」はどっち?

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はじめに

「かえりみる」には「省みる」と「顧みる」がありますが、どちらを使えばいいか迷ったことはありませんか? 今回は「省みる」と「顧みる」の使い分けについてまとめてみたいと思います。

まず、送りがなについてですが、「省みる」も「顧みる」も、送りがなは「みる」です。「省る」や「顧る」ではないので、ちょっと注意してみてくださいね。

「省みる」は「自分の行動を反省すること」です。「顧みる」は「過去を思い出す」ことと「後ろを振り向く」という2つの意味があります。また、「顧みない」と否定形になると、「気にしない」とか「心に留めない」という意味になるんですね。

今回は、この「省みる」も「顧みる」について、もう少し詳しく触れていきたいと思います。

自分の行動を反省する → 省みる
過去を思い出す → 顧みる
後ろを見る → 顧みる
気にしない → 顧みない

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「省みる」とはどういう意味?

省みる」というのは、「省」の文字どおり「反省する」ことです。自分の行いを振り返って、何が良くて何が悪かったのか考えることが「省みる」です。逆にいえば、反省する場合にしか用いません。

用例で確かめてみましょう。

「省みる」の用例
・どうして遅刻するのか、自分の生活をきちんと省みなさい。
・自分の行いを省みれば、至らなさばかりで情けなくなる。
・テストの間違いを省みる習慣をつけたら成績が上がった。

「省みる」は英語ではリフレクト(reflect)です。教育や看護の分野では、よく「リフレクション(reflection)という言葉が用いられます。かつては指導することが教育だと考えられてきましたが、だんだんと自分で気づくことが大切だというように変わってきたんですね。

「顧みる」はどういう意味?

顧みる」には2つの意味がありますが、主に「顧」の文字どおり「回顧する」という意味で用いられます。つまり、過ぎ去ったことを思い起こして振り返ることが「顧みる」ですね。また、あまり用いられませんが、体の動きとして「後ろを振り向く」ことも「顧みる」になります。

「顧みる」は、英語でいえばルックバック(look back)です。空間的に後ろを振り返ることも、時間的に振り返ることも、どちらも「顧みる」になります。

文例で確かめてみましょう。

回顧する
・自分の人生を顧みれば、平凡だったが満足のいくものだった。
・卒業アルバムを見ながら、しばらく当時のことを顧みた。
振り向く
・ふと顧みれば、弟がもの言いたげに立っていた。
・呼ぶ声がして顧みると、妻が後を追ってきていた。

「顧みる」がルックバックで、「省みる」がリフレクトね。英語を使うと賢くなったみたいに錯覚ちゃうわね。

「危険をかえりみない」はどう書けばいい?

「かえりみる」を「かえりみない」と否定形にすると、「気にしない」「心に留めない」という意味になります。この場合は「顧」を用いて「顧みない」にします。

かえりみない = 顧みない

「危険をかえりみない」というのは、「危険であることを気にしない」という意味ですから「顧みない」にするんですね。「むこうみず」が意味として近いかもしれません。

・彼は危険を顧みずに救助に向かった。
・この土地で大きな災害があったことなど誰も顧みなくなった。
・ご迷惑を顧みずにお願いばかりで申し訳ありません。

「顧」には「気にかける」という意味があります。「顧問」の先生は、気にかけて相談に応じてくれる先生ですし、「顧客」というのは、大事に気にかけているお客さんのことです。「ご愛顧ください」だと「愛して気にかけてください」とお願いしていることになります。

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「三顧の礼」ってどんな礼のこと?

「三顧の礼」というのは耳にしたことがあるかと思います。文字だけ見ると「3回お礼をすること?」と思いますよね。「顧」には「思いをかける」という意味があると書きましたが、「三顧」とはどんな意味なのでしょうか。

これは中国の故事に由来していて、「高い立場にある人が、自分より位の低い者に対して、礼を尽くして仕事を頼むこと」という意味なんですね。単に「三顧」といったり、「三顧の礼を尽くす」という表現をしたりもします。語源となっているのは次のようなエピソードです。

三国時代の中国に蜀(しょく)という国があり、その国の劉備(りゅうび)という人物が、諸葛孔明(しょかつこうめい)の軍師としての腕を高く評価し、孔明の草庵を三度も訪ねて、ようやく軍師を引き受けてもらった。(※草庵:粗末で小さい小屋)

『三国志』は有名ですし、その中でも軍師・諸葛孔明は人気があります。以前、『パリピ孔明』というアニメが人気を博しましたので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。あれほどの才覚があれば、なるほど「三顧の礼」を尽くして迎え入れられたというのも納得できるというものですね。

『パリピ孔明』の孔明が「三顧の礼」の語源になった人だなんて知らなかった。

まとめ

・自分の行動を反省するのは「省みる」です。
・過去を思い出すことは「顧みる」です。
・後ろを振り返るのも「顧みる」です。
・「危険をかえりみない」は「顧みない」にします。

今回は「省みる」と「顧みる」の違いについて、そして「危険をかえりみない」はどう書けばいいかをまとめてみました。最後まで読んでくださってありがとうございました。

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