はじめに
いざ話そうと思ったら、「これって“おざなり”だっけ? “なおざり”だっけ?」と迷うことってありますよね。意味が似ていて、しかも発音も似ているので紛らわしいです。でも、いったん使い分けのコツをつかんでしまえば、あとは迷わなくてすみますので、今回は「おざなり」と「なおざり」の使い分けのポイントをまとめてみたいと思います。
○使い分けのポイントは「やったかやらないか」
おざなり:とりあえず何かやった(けど、適当)
なおざり:何もやっていない(放っておいた)
感覚的に使い分けるコツとしては「行動」に注目しましょう。「おざなり」は「とりあえず何かやった(けど、適当)」ということです。それに対して「なおざり」は「何もやっていない(放っておいた)」ことになります。
では、どうしてそうなるのでしょうか。理由を知れば定着しますので、ぜひ最後までご一読くださいね。
「おざなり」とはどういう意味?
「おざなり」は漢字で書くと「お座なり」で、「その場をとりつくろうこと」や「その場かぎりの誠意のない言動」の意味になります。つまり、「一時しのぎ」というようなニュアンスですね。
おざなり:一時しのぎ
どうして「一時しのぎ」のことを「おざなり」というのか、語のなりたちから考えてみたいと思います。
「お」は「御」、「ざ」は「座」で、「なり」というのは「言いなり」や「道なり」などの「なり」で「そのまま」という意味です。つまり「おざなり」は、「お座敷(その場)の雰囲気のままにしておくこと」というのがもともとの意味なんですね。
人が集まれば、あることないこと話題になるものです。いちいち説明したりまともに相手をしているのも面倒なので適当にあしらっておく、それが「お座なり」なんですね。
そこから転じて、「誠意が感じられない一時しのぎな態度」という意味で用いられるようになりました。
・おざなりな謝罪
・おざなりな対応
・おざなりな答弁
・おざなりなあいさつ
「なおざり」とはどういう意味?
一方、「なおざり」は漢字で書くと「等閑」になります。漢語では「等閑(とうかん)」と読みますが、和語の「なおざり」も漢語の「等閑」も、どちらも「いいかげんなこと」や「おろそかにすること」という意味です。
なおざり:おろそかにすること
「閑」には「おろそかにする」という意味があって、その状態が「等」、つまり、いつまでも続いているのが「なおざり」です。このことから、「いいかげんにして放っておくこと」や「心に留めないこと」の意味になりました。「気にしないでおく」が比較的近いかもしれません。
覚え方としては、「「なお(そのまま)」+「さり(去り=遠ざける)」のように捉えてみてください。一定程度の時間、よくない状況が継続しているのが特徴です。
・掃除がなおざりだった。
・服装をなおざりにする。
・なおざりな食事で体調を崩す。
・家庭をなおざりにしていたら妻が出ていった。
例文で使い分けを確認してみましょう
確認のために、次の例文はどちらなのかちょっとだけ考えてみてください。正解していたらバッチリ定着した証拠ですね。
・忙しくて自分の健康のことなどずっと( )にしていた。 (なおざり)
・専門外のことを聞いたら( )な回答ばかりだった。 (おざなり)
・家庭を( )にしていたことが離婚の原因です。 (なおざり)
・担当者の説明が( )だったので、少し不愉快だった。 (おざなり)
・その男の( )なもの言いが詐欺を見抜くポイントだった。(おざなり)
・実家のことを( )にしていたら兄弟との関係が悪化した。(なおざり)
ただし、どちらもあまりよろしくない態度ですので、できれば「おざなり」にも「なおざり」にもならずに生活したいものですね。
最後まで読んでくださってありがとうございました。


